発達障害者支援法とDSM-5
発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(発達障害者支援法 における定義 第二条より)と定義されています。しかし、世間一般には、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)の3つが、「発達障害」として捉えられることが多いでしょう。
- 医学的な定義…DSM-5(精神科医の診断マニュアル)、ICD-11(WHOの病気百科事典)
- 法律的な定義…発達障害者支援法(2004)
2013 年アメリカ精神医学会の新しい診断基準DSMでは、精神疾患の分類と診断基準が示されています。
DSMは精神疾患の診療(診断)基準の一つとして世界中で用いられており、最新版のDSM-5(2013年発行)では神経発達症群という新しいカテゴリーがつくられました。発達障害には,神経発達症群という名称が使用され,精神遅滞は知的障害に,広汎性発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)という名称に変わりました。
「発達障害」という言葉も「神経発達症」になりましたが、発達障害者支援法では自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害と定義されているため、「発達障害」の方が定着しています。
DSMとは
DSMとは、アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類です。正式名称は「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といい、その頭文字を略してDSMと呼びます。
DSMは、精神医学の研究や治療を行っている人に、精神疾患の基本的な定義などを示したものです。
もともとはアメリカでつくられたものですが、現在は国際的に利用されていて、日本でも精神疾患の診断に用いられています。
DSM-5の「5」の意味
『DSM-5』の「5」は、第5版という意味です。アメリカ精神医学会は1952年にDSMの第1版を出版し、その後、改訂を重ねて、2013年(日本語版は2014年)に第5版『DSM-5』を出版しました。その第5版がDSMの最新版として使われています。
1994年出版のDSMは「Ⅳ」でした。ローマ数字から算用数字に切り替わりました。
神経発達症群
- 知的能力障害群(ID)
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 限局性学習症(SLD)
- 注意欠如・多動性症(ADHD)
- 発達性協調運動症(DCD)
- コミュニケーション症群(CD)
- 発達性協調運動症(DCD)
- 他の神経発達症群
参考文献 : DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル